2016年08月18日
い宮廷風の丁重さをよ
「さあ、いつまでも雨の中に立っていないでこちらへいらっしゃい」老婦人が言った。「お友だちもごいっしょにね」彼女は踵を返し、まわりで飛びはねる沼獣を連れて、柳の木立ちのあいだの小道を歩き始めた。
「どうするんだい」ガリオンが小声でたずねた。
「いっしょに行くことにしよう」ベルガラスはボートから島に足をおろしながら言った。
ガリオンは先に何が待ち受けているかもわからないまま、シルクとともに老人の後に従って柳からしたたり落ちる雨に濡れた小道を歩いていった。眼の前に小さな庭園のついた、わらぶきの小ぎれいな家があらわれたときはさすがのかれも仰天した。家は乾いた丸太を組み合わせて作られたもので、すき間はびっしりとコケでふさがれ、煙突からはひと筋の細い煙があがっていた。
戸口に立った老婦人は、注意深くイグサの靴ふきで足をぬぐい、マントについた雨のしずくを振りはらった。そしてドアを開けると後ろも見ずに、さっさと中へ入っていった。
シルクは家の前で立ち止まって、うさんくさそうな表情を浮かべた。「本当に大丈夫なんでしょうね、ベルガラス」かれは小さな声でたずねた。「ヴォルダイについちゃ、いろいろとよくない噂を聞いてますよ」
「だが彼女が何を望んでいるかを知るにはこれしか方法がない」ベルガラスは言った。「それにヴォルダイと話をしなければ、これ以上先に進むこともできないような気がしてな。さあ、入ろう。よく足をふくのを忘れずにな」
ヴォルダイの家の内部はすみずみまできれいに手入れされていた。天井は低く、がっしりした梁に支えられていた。木の床は真っ白になるまで磨きこまれ、アーチ型の暖炉の前にはテーブルと何組かの椅子が置かれている。暖炉の鉄鉤には鍋がかけられていた。テーブルの上にはヒマワリをいけた花瓶が置かれ、庭を見おろす窓にはカー
テンが吊されていた。
「あなたのお友だちを紹介してくださいな、ベルガラス」老婦人はマントを釘にかけながら言った。彼女は茶色の簡素なドレスの正面のしわを手でのばした。
「むろんだとも、ヴォルダイ」老人は礼儀正しく答えた。「こちらはケルダー王子。きみの同郷人だ。そしてこちらがリヴァの王ベルガリオンだ」
「高貴な方々ばかりね」老婦人はあいかわらず平板な声で言った。「ヴォルダイの家にようこそいらっしゃいました」
「失礼ながら、マダム」シルクはめいっぱそおった声で言った。「いろいろと芳しくないお噂を聞いているのですが」
「〈湿原の魔女ヴォルダイ〉ですか」老婦人は面白がっているような表情だった。「あの人たちはまだわたしのことをそう呼んでいるのかしら」
シルクはほほ笑みを返しながら言った。「残念ながら連中の表現は何というかもっと誤解を与えるようなたぐいのものでしてね」
「〈沼の鬼婆〉」彼女は愚直な百姓の口調をまねて言った。「〈旅人を沼に引きずり込んで溺れ死にさせるもの〉または、〈沼の女王〉」老婦人の唇が苦々しげにゆがんだ。
「どうするんだい」ガリオンが小声でたずねた。
「いっしょに行くことにしよう」ベルガラスはボートから島に足をおろしながら言った。
ガリオンは先に何が待ち受けているかもわからないまま、シルクとともに老人の後に従って柳からしたたり落ちる雨に濡れた小道を歩いていった。眼の前に小さな庭園のついた、わらぶきの小ぎれいな家があらわれたときはさすがのかれも仰天した。家は乾いた丸太を組み合わせて作られたもので、すき間はびっしりとコケでふさがれ、煙突からはひと筋の細い煙があがっていた。
戸口に立った老婦人は、注意深くイグサの靴ふきで足をぬぐい、マントについた雨のしずくを振りはらった。そしてドアを開けると後ろも見ずに、さっさと中へ入っていった。
シルクは家の前で立ち止まって、うさんくさそうな表情を浮かべた。「本当に大丈夫なんでしょうね、ベルガラス」かれは小さな声でたずねた。「ヴォルダイについちゃ、いろいろとよくない噂を聞いてますよ」
「だが彼女が何を望んでいるかを知るにはこれしか方法がない」ベルガラスは言った。「それにヴォルダイと話をしなければ、これ以上先に進むこともできないような気がしてな。さあ、入ろう。よく足をふくのを忘れずにな」
ヴォルダイの家の内部はすみずみまできれいに手入れされていた。天井は低く、がっしりした梁に支えられていた。木の床は真っ白になるまで磨きこまれ、アーチ型の暖炉の前にはテーブルと何組かの椅子が置かれている。暖炉の鉄鉤には鍋がかけられていた。テーブルの上にはヒマワリをいけた花瓶が置かれ、庭を見おろす窓にはカー

テンが吊されていた。
「あなたのお友だちを紹介してくださいな、ベルガラス」老婦人はマントを釘にかけながら言った。彼女は茶色の簡素なドレスの正面のしわを手でのばした。
「むろんだとも、ヴォルダイ」老人は礼儀正しく答えた。「こちらはケルダー王子。きみの同郷人だ。そしてこちらがリヴァの王ベルガリオンだ」
「高貴な方々ばかりね」老婦人はあいかわらず平板な声で言った。「ヴォルダイの家にようこそいらっしゃいました」
「失礼ながら、マダム」シルクはめいっぱそおった声で言った。「いろいろと芳しくないお噂を聞いているのですが」
「〈湿原の魔女ヴォルダイ〉ですか」老婦人は面白がっているような表情だった。「あの人たちはまだわたしのことをそう呼んでいるのかしら」
シルクはほほ笑みを返しながら言った。「残念ながら連中の表現は何というかもっと誤解を与えるようなたぐいのものでしてね」
「〈沼の鬼婆〉」彼女は愚直な百姓の口調をまねて言った。「〈旅人を沼に引きずり込んで溺れ死にさせるもの〉または、〈沼の女王〉」老婦人の唇が苦々しげにゆがんだ。
Posted by exlovea at
13:21
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2016年08月04日
いのを知ってるだろ
「そうね」ポルおばさんは答えた。「あなたにはわからないでしょうね」

続く一日半、白い大地の上を一直線に横切ってセンダリアの首庁センダーへ向かうかれらの上に、雪が思い出したように降りつけた岸に近づくにつれ風は勢いを増し、ときたま姿をのぞかせる海はきわめて険悪な様相をおびていた。風にあおられた巨大な波が、泡だつ白い飛沫となって砕け散った。
フルラクの宮殿ではベルガラスが、きわめて不機嫌な顔で待ちかまえていた。〈エラスタイド〉まであと一週間ちょっとだった。老人はまるでそれが自分に対する大いなる侮辱であるかのように、窓の向こうで荒れ狂う海をにらみつけていた。「いやはや、また会えるとは思ってもみなかったぞMIOGGI 好唔好
」
「はしたないわね、おとうさん」ポルガラは落着はらった声で父をたしなめると、青いマントを脱いでかたわらの椅子にきせかけた。
「おまえの目にはあれが見えんのかね、ポルよ」老人は怒ったように窓に向かって指を突きだした。
「わかってるわよ、おとうさん」彼女はろくに見ようともせず、とがめるような口調で言った。「ちゃんと休んでないみたいね」
「外があんな天気だってのに、何で休んでなぞいられるものか」老人はふたたび指を振りまわした。
「そんなことしたっていたずらに興奮するばかりよ。今のおとうさんにはそれが一番よくないのよ。もっと落着いてちょうだい」
「だがわれわれは〈エラスタイド〉までにリヴァへ行かねばならんのだぞ」
「ええ、よくわかっていますとも。わたしの上げた強壮剤をちゃんと飲んでるんでしょうね」
「おまえでは話にならんわ」老人はガリオンに矛先を転じた。「なああの波を見ただろう」
「ぼくがそんな質問に答えられなう、おじいさん。特にポルおばさんの目の前では」
ベルガラスはかれをにらみつけた。「この裏切り者め」老人はくやしそうにつぶやいた。
だがベルガラスの心配は決して杞憂ではなかった。〈エラスタイド〉の四日前、みぞれまじりて見覚えのあるグレルディク船長の船が入港した。マストとへさきにはびっしりと氷がつき、主帆はまっぷたつに引きさけていた。
宮殿に足を踏みいれるやいなや髭もじゃの船長は、ベルガラスとブレンディグ大佐の待つ部屋に通された。かつてカマールでベルガラス一行を捕らえたきまじめなブレンディグ准男爵は、連隊長から大佐になっていた。あれからブレンディグはとんとん拍子に出世して、今ではセリネ伯爵と並んでフルラク王のもっとも信頼する片腕となっていた。
「アンヘグ王の命令で来たのだ」グレルディク船長はごく簡潔に述べた。「王はリヴァでローダー王やブランド卿とともに首を長くして待っている。いったい何でこんなに時間がかかるのだろうと全員首をひねっているぞ母乳 研究」

続く一日半、白い大地の上を一直線に横切ってセンダリアの首庁センダーへ向かうかれらの上に、雪が思い出したように降りつけた岸に近づくにつれ風は勢いを増し、ときたま姿をのぞかせる海はきわめて険悪な様相をおびていた。風にあおられた巨大な波が、泡だつ白い飛沫となって砕け散った。
フルラクの宮殿ではベルガラスが、きわめて不機嫌な顔で待ちかまえていた。〈エラスタイド〉まであと一週間ちょっとだった。老人はまるでそれが自分に対する大いなる侮辱であるかのように、窓の向こうで荒れ狂う海をにらみつけていた。「いやはや、また会えるとは思ってもみなかったぞMIOGGI 好唔好
」
「はしたないわね、おとうさん」ポルガラは落着はらった声で父をたしなめると、青いマントを脱いでかたわらの椅子にきせかけた。
「おまえの目にはあれが見えんのかね、ポルよ」老人は怒ったように窓に向かって指を突きだした。
「わかってるわよ、おとうさん」彼女はろくに見ようともせず、とがめるような口調で言った。「ちゃんと休んでないみたいね」
「外があんな天気だってのに、何で休んでなぞいられるものか」老人はふたたび指を振りまわした。
「そんなことしたっていたずらに興奮するばかりよ。今のおとうさんにはそれが一番よくないのよ。もっと落着いてちょうだい」
「だがわれわれは〈エラスタイド〉までにリヴァへ行かねばならんのだぞ」
「ええ、よくわかっていますとも。わたしの上げた強壮剤をちゃんと飲んでるんでしょうね」
「おまえでは話にならんわ」老人はガリオンに矛先を転じた。「なああの波を見ただろう」
「ぼくがそんな質問に答えられなう、おじいさん。特にポルおばさんの目の前では」
ベルガラスはかれをにらみつけた。「この裏切り者め」老人はくやしそうにつぶやいた。
だがベルガラスの心配は決して杞憂ではなかった。〈エラスタイド〉の四日前、みぞれまじりて見覚えのあるグレルディク船長の船が入港した。マストとへさきにはびっしりと氷がつき、主帆はまっぷたつに引きさけていた。
宮殿に足を踏みいれるやいなや髭もじゃの船長は、ベルガラスとブレンディグ大佐の待つ部屋に通された。かつてカマールでベルガラス一行を捕らえたきまじめなブレンディグ准男爵は、連隊長から大佐になっていた。あれからブレンディグはとんとん拍子に出世して、今ではセリネ伯爵と並んでフルラク王のもっとも信頼する片腕となっていた。
「アンヘグ王の命令で来たのだ」グレルディク船長はごく簡潔に述べた。「王はリヴァでローダー王やブランド卿とともに首を長くして待っている。いったい何でこんなに時間がかかるのだろうと全員首をひねっているぞ母乳 研究」
Posted by exlovea at
18:50
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