2017年03月07日
いがいの人間に

つる頭を片手でなでた。「母は貧乏culturelle兒童益生菌
だったんだよ」と答えた。「それがわが子にしてやれる唯一の贈物だったんだ」
「贈物?」
「サルミスラ女王の宮殿に雇われるチャンスを与えてくれたわけだからね。そうでもしなかったら、わたしは残りの家族のように、物乞いになっていただろう」
「だいじょうぶか?」ガリオンは血の気の失せたザカーズにたずねた。
「ひとりにしておいてくれ、ガリオン」ザカーズはつぶやいた。
「わたしにまかせたらどう、ディアNeo skin lab 騙?」ポルガラがガリオンに声をかけた。「これはザカーズにとってたいへんな試練なのよ」
「わかるよ。ぼくの場合も容易なことじゃなかった」
「でもわたしたちは気づかいながらあなたに打ち明けたわ。シラディスにはそんな余裕はなかったのよ。わたしがザカーズと話しましょう」
「わかった、ポルおばさん」ガリオンはその場を離れて、動揺激しいザカーズをポルガラにゆだねた。この事態の展開は、ガリオンにかなりの不安を与えていた。個人的には、マロリー皇帝に好感を持っていても、この人物を一行に加えることから生じる困難の数々がいまから目に見えるような気がした。これまでにも絶えず一行のメンバーは生命の危機にさらされてきた。みんなの命はひとえに、全メンバーの目的がひとつであることで保たれてきたのだ。だが、ザカーズがなにを考えているのかは、いたって不明瞭だった。
(ガリオン)心の中の声がうんざりしたように言った。(自分に理解できないことをいじりまわすのはよせ。ザカーズはおまえと一緒に行かねばならんのだ。だからその考えに慣れたほうがよい)
(でも――)
(でももへちまもない。慣れるんだ)
ガリオンは二言、三言、低い声で毒づいた。
(それからな、わたしに毒づくのもやめろ)
「こんなばかなことがあるか!」ザカーズがいきなり叫んで、椅子にへたりこんだ。
「それはちがうわ」ポルガラが異議を唱えた。「あなたは別の見方で世界を見ることに慣れなくてはいけない、それだけのことよ。たとっては、そんな必要はないわ。でもあなたはいまや厳選されたグループのひとりなんですからね、ルールだってこれまでとはちがってくるのよ」
「ルールがわたしに適用されたことはただの一度もないのだ、レディ・ポルガラ。自分のルールは自分で作る」
「もうそれは許されないわ」
「どうしてわたしがこんな目に会わねばならない?」ザカーズは問いつめた。
「最初の質問はいつもあれだな」ベルガラスがそっけなくシルクに言った。
「これまでそれに答えた者はいるんですか?」
「わしの知るかぎりでは、おらん」
「いずれわたしたちであなたにいろいろ教えてあげられるわ」ポルガラはザカーズを元気づけた。「いま重要なのはただひとつ、あなたにその意志があろうとなかろうと、シラディスにたいするかかわりを尊重することよ」
Posted by exlovea at
18:56
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